名句うがち読み 第3回 坪内稔典

2016.12.03.Sat.00:56




君はいま大粒の雹、君を抱く 坪内稔典

『落花落日』昭和60年より

愛する女性はいま雹(ひょう)のように危うく、冷たく、頑なである。作者は危険を顧みず彼女を抱くことを決意する。かいなの中で溶けてしまえば何も残らないというのに。快楽よりは奉仕であろう。いや奉仕が快楽なのか。何れにせよ哀しくも美しい行為である。読点に作者の様々な思いの交錯と逡巡が見受けられて人間味あふれる。
〈たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ〉〈多分だが磯巾着は義理堅い〉などの作者の代表作と一戦を画するような恋句だが共通するのは口承性。数度読めば口から自ずと出てくる。凍てつく空へふと呟いてしまう、私は作者の術中に嵌っているのだろうか?


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