名句うがち読み 第8回 蜂谷一人 (祝!俳壇賞)

2016.12.13.Tue.14:58

クリップ


針金に戻すクリップ冬隣 蜂谷一人

『青でなくブルー』平成28年より

書類をシュレッダーにかけるうちに無用のクリップがが増えてゆく。また使うものもあるが、ふとその人為的な曲線に疑問を感じて真っ直ぐにしようと試みる。これがなかなか難しくクリップには争われるし完全な直線の針金に戻すのは不可能に近い。おまけにこの作業で出来た針金らしきものは思ったより長く、使い道がない。
ひんやりとしたクリップを針金に戻そうとするのはただの手すさびを超えてちょっとした善行めいている。しかし作者が満足出来たとは思えない。何本か戻してはみたものの少し後悔したかもしれない。冬隣である。薄くなる日差しに少しの焦燥感、どっちつかずの気分にこの元クリップの針金たちは絶妙に符合している。

掲句以外に好きな句として、

春光の銀貨にて買ふ雲図鑑
青でなくブルー小鳥のまま老いて
どの花も眠りあさがほ市の夜
もう魚に戻る気のなき目刺かな
散る花のほかは急がず無人駅


など。

参加しました。応援して頂ける方1日1回ぽちっとな♪



コメント

管理者にだけ表示を許可する