名句うがち読み 第9回 対馬康子

2016.12.15.Thu.09:10

覇者いつも海より来たる日短 対馬康子

『竟鳴』平成26年より

覇者とは王者の対義語で武力や権謀術数を以って国を統治する者。海から来た覇者と言えば日本では元冦をまず思い浮かべる。世界史に目を移せばインカ帝国を滅ぼしたピサロでもいいし、帝国主義で植民地を広げた列強でもいい、とにかく枚挙にいとまがない。それに気づいたのか、思い出したのが冬。それも昼が一番短くなる前後の気ぜわしい時期。発見の感慨に浸る間も無く日常が慌ただしく過ぎてゆく。覇者の登場から滅亡まで教科書をめくってゆけばあっという間のように。
上五中七の勇壮な措辞から大きな季語で結ばれるかと思いきや、日短で締める作者のセンスに脱帽。ちなみに日短は普通「ひみじか」の四音だが、下五に来るときは「ひ」を少し伸ばすか一拍おいて五音とする。

作者の句としては他に

マフラーをはずせば首細き宇宙
国の名は大白鳥と答えけり
欠けてゆく月の音して雛道具


など。


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