名句うがち読み 第12回 大塚迷路

2016.12.23.Fri.01:21

今更だがそれは国宝だぞ毛虫

『誰か居る』平成28年より


通常国宝たる絵画は様々な手段で守られているものだが、その間隙をぬった毛虫がいた。「今更だが」ということは既に貴重な絵の一部を喰ってしまった後であろう。作者はその顛末を見届けてツッコミを入れる。
毛虫は夏の季語。口語での語りかけの手法に、やれやれという嘆息と同時に重罪を犯してしまった毛虫への憐憫を感じる。国宝とは人が決めたものに過ぎず、毛虫にはあくまでも食物。人の価値観で毛虫に罰を下すことへの皮肉さえ込められているかもしれない。
果たして虫食いの国宝はどうなるのか、作者は毛虫をどうするのか、良い意味で無責任に読者の想像に委ねられている。
他に作者の句として

着水の水鳥水を疑わず
空蝉の見つめる蝉の七日間
向日葵に喰い込む弾や誰か居る
秋雲は秋雲にしかぶつからず


など。

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コメント
No title
私もこの句、大好きです。
迷路さんの句では、物や動物や自然が魂を持っているんだということを感じさせられることが多いです。
「誰か居る」の中では
あたたかし永久に不在となる生家
もすごく好き。
ちゃうりんさん
こんばんは!コメントありがとうございます!めろさんの視点は本当に生きとし生けるものへの愛に溢れていますよね。
私もその御句とても好きです!
というかどの御句も好きで…
偉大な先輩です!

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